ずっと気になってはいるけれど純喫茶と聞くと入りにくそうと思って二の足を踏んでいたり、ドトールやタリーズなどの気軽に入れる全国チェーンのカフェの他にもとっておきのお店を開拓したくなっている方はいらっしゃいませんか?
純喫茶とカフェの違いやおすすめポイントをさまざまな角度からメリット、デメリットを交えてお話していきたいと思います。
最近のおしゃれなカフェでコーヒーを楽しむのもいいですが、昔ながらのレトロな雰囲気に時代を感じながら飲むコーヒーは格別なおいしさなので、ぜひ純喫茶にも足を伸ばしてみてください。
純喫茶とカフェの違いとは?
◇純喫茶→「喫茶店営業許可」を取得している
◆カフェ→「飲食店営業許可」を取得している
以上のように食品衛生法では飲食店は営業内容や形態によって「喫茶店営業」と「飲食店営業」の2つに区分されます。
◇「喫茶店営業許可」はコーヒー、紅茶を中心としたソフトドリンクと軽食(簡単な調理法のもの、具体例:トースト、サンドウィッチ)を提供できます。
◆「飲食店営業許可」はコーヒー、紅茶を中心としたソフトドリンクに加えアルコールと店内で加熱調理などをした食事(具体例:パスタ、オムライス、カレーライス)を提供することができます。
なのでレトロな見た目や店名から純喫茶と思っていても、食事やアルコールを提供している場合、法律上で営業形態はカフェにあたるのです。
そして喫茶店営業許可しかとっていなくても、アルコールの提供さえしなければ〇〇カフェと謳っても何ら問題なく、名乗りは自由で店主の好みによるところになります。
純喫茶とカフェのイメージについて!レトロな雰囲気からスタイリッシュな雰囲気までその日の気分で使い分けよう
今でこそ純喫茶にはクラシックやレトロといった古めかしさを感じ、一方でカフェはスターバックスコーヒーの台頭によりスタイリッシュ、流行といった新しさを感じる様にもなりました。
そもそも純喫茶の”純”の字になんだか歴史や伝統を感じてしまいます。
それもそのはず、純喫茶とは20世紀前半に流行したカフェー(特殊喫茶、社交喫茶)に対して純粋な喫茶店という意味で純喫茶と呼称するようになったのです。
明治末期にできたカフェは知識人の社交の場としての空間でしたが、大正時代になり大衆化していくうちに、コーヒーを楽しむお店以外に女給による接客やアルコールを主に提供するお店(特殊喫茶、社交喫茶)が増えていきました。
当時は従来のお店と特殊喫茶は両方ともカフェもしくは喫茶店と呼ばれていて、1930年(昭和8年)になると「特殊飲食店取締規則」が出されたのを機に差別化を図るため純喫茶と名乗ったという経緯があります。
そうした動きとともに時の流れによって喫茶店とカフェも悪いイメージを払拭していくことができ、現代においては喫茶店とカフェのイメージは刷新されていきました。
最近ですと純喫茶ブームでクリームソーダ人気に再び火がついたのも記憶に新しいかと思いますし、色とりどりのソーダ水に浮かんだアイスクリーム、クリームたっぷりのフルーツサンド、マスターの淹れた深煎り珈琲、まさに純喫茶のイメージするところですよね。
その一方で従来のカフェチェーンに加え、高級志向を意識したカフェ、猫カフェ、ボードゲームカフェと様々な種類のカフェができて今なお盛り上がりを見せています。
純喫茶とカフェの特徴を比較!コーヒーの値段の違いや提供するものの違い
純喫茶のメニューと値段
- メニュー:珈琲、紅茶、ソフトドリンク、軽食
- コーヒー一杯の価格:ブレンドコーヒー平均450円程
カフェのメニューと値段
- メニュー:珈琲、紅茶、ソフトドリンク、アルコール、食事
- コーヒー一杯の価格:ドトールのブレンドコーヒー(180円)からドトールと同じ会社が経営する星乃珈琲店(420円)、スターバックスコーヒーのドリップコーヒー(290円~410円)
実はメニューや価格からですと喫茶目的の場合なら純喫茶もカフェもあまり違いはありませんが、飲食目的の場合、カフェの方が飲み物、食べ物ともにメニューに種類があり、アルコールの提供もあるので目的によってはカフェの方が良いかもしれません。
多店舗展開しているカフェチェーンは接客や調理もマニュアル化していますし、客側としてもある程度お店の雰囲気をつかみやすく初めての店舗でも気軽に入れます。
それにも関わらず純喫茶が人を惹きつけるのはどうしてなのか、今から純喫茶の魅力についてお伝えしたいと思います。
レトロな雰囲気の純喫茶おすすめポイントとは?
長所と短所は紙一重とはいったもので純喫茶が好きな人たちは従来のカフェにはない何かを求めているではないでしょうか。
ありとあらゆるものがオートメーション化、マニュアル化してますます速さを求められる時代に逆行して時間が止まっているような空間に一時の癒しであったり、個人店ならではの店主の人柄やこだわり、現存する木造、レンガ造りの建物に独特の世界観や歴史を感じられます。
その空気が一見さんを入りづらくさせているのは否めませんが、入って腰を落ち着けてみると全体的に落ち着いた客層と雰囲気です。
静かにコーヒーを飲んでのんびりしたり、読書したりとまるで祖父母の家で寛いでいる様なゆったりとした時間を過ごせます。
メロンソーダやイチゴジュースなど普段だったら頼まないような人もなぜか純喫茶で注文するのも不思議なところ。童心、郷愁、ぬくもり、落ち着き、純喫茶にはそんな魅力もうんと詰まっています。
しかし、儚いことには純喫茶も店主の高齢化、建物の老朽化に伴い年々減少していっています。
例え素敵な純喫茶と出会ったとしてもひょっとしたら一期一会になるかもしれません。
もし知らない街に行くことがあれば純喫茶を探してみてはいかがでしょうか。
きっと何か心にしみ入るものがあるかもしれませんよ。